麦茶はコスパが良くて夏には熱中症対策としても飲むことが多いですよね。
そんな良いことだらけの麦茶ですが、実は他の飲み物よりも腐りやすいんです。
最近SNSやテレビでも話題になったのがこれ↓
飲みかけのペットボトルの麦茶は食中毒になりやすいんだって!ご存知でした!?
数値は戦闘力じゃないよ。菌の数だよ。 pic.twitter.com/gW5O9ouozj— かつき (@bykatsuki) August 5, 2019
この写真は30℃で飲みかけのペットボトルを24時間放置したときの菌の数です。
見ての通り麦茶の雑菌の数が圧倒的に多いですよね。
そこで今回は、麦茶に雑菌が繁殖して腐りやすい原因について解説していこうと思います!
目次
なぜ麦茶は雑菌が繁殖して腐りやすい?
麦茶が他の飲み物に比べて腐りやすいのは糖分濃度が低いからです。
「!?砂糖が多く使われている方が腐りやすそうなイメージがあるけど...」
このように思いませんか?
でも実際は糖分濃度が高い方が腐りにくいんです。
砂糖の濃度が50%になると菌はほとんど増えませんし、70%を超えるとカビすら生えないと言われているほどなんですよ。
例えばですが、生のフルーツより砂糖を沢山加えたジャムの方が腐りにくいです。
このように糖分濃度が高ければ腐りにくいというわけですが、これは塩分濃度でも同じことが言えます。
同じ魚でも生魚より塩分濃度が高い塩漬けにした魚の方が腐りにくいですよね。
こんな感じで濃度が高いということが腐りにくさのポイントです。
糖分濃度が低い麦茶で雑菌が繁殖しやすいのは浸透圧の関係
ここでもう少し踏み込んで、麦茶で雑菌が繁殖しやすい原因を見ていきましょう。
”浸透圧”という言葉って聞いたことがありますか?
たしか中学校か高校くらいで勉強したような記憶がありますが、この浸透圧が雑菌の繁殖のしにくさに関係します。
浸透圧とは、2種類の濃度が違う水が隣り合わせにあったら、濃度を一定に保とうとして水分が移動する力のこと。
- ナメクジに塩をかけるとナメクジが動けなくなって死ぬ
→濃度の薄いナメクジから濃度の高い塩に水が移る - 千切りキャベツを水に浸すとシャキシャキになる
→濃度の薄い水から濃度の高いキャベツに水が移る
次に、この浸透圧をペットボトルのスポーツドリンクに適用して考えてみましょう。
ペットボトルのスポーツドリンクは雑菌が繁殖しにくい
スポーツドリンクは大量の砂糖が含まれていて糖分濃度が高いですよね。
対するのは菌が持つ水分です。
菌は超小さいですが水分を含んで生きています。
では、水分を含む菌がテクテクと歩いていって、糖分濃度が高いスポーツドリンクの海にポチャンと入っていったらどうなるでしょうか?
濃度が高いのはスポーツドリンクの方です。
だから、菌の水分が濃度の高いスポーツドリンクの方に移ります。
すると菌は脱水状態になって死滅するんですね。
これを想像すると菌がちょっと可愛そうに思えてきますが、糖分濃度が高いスポーツドリンクやジュースではこのようにして菌の繁殖が抑えられています。
逆に、麦茶は糖分濃度や塩分濃度が低いから、菌の水分が奪われることなく大量に繁殖してしまうんですね。
夏場でも麦茶を簡単に腐らせない方法とは?
ここまで見てきたように、スポーツドリンクなどに比べて麦茶は菌が繁殖しやすい飲み物なんです。
そこで麦茶を簡単に腐らせない3つのポイントをお伝えします。
- ペットボトルに口を付けない
- ペットボトルを開封したらできるだけ早く飲み干す
- ティーパックで作る場合は作り置きしない
麦茶を腐らせないためにはとにかく常温で放置しないことが重要。
ミネラルを多く含む麦茶を熱中症対策として飲んだとしても、その麦茶が腐っていると雑菌が原因で体を壊しかねません。
野外活動やスポーツなどで長時間外にいなければいけない時は、腐りやすい麦茶ではなくスポーツドリンクを持ち運ぶことをオススメします。